アニメ版　ガラスの仮面・第７話「たったひとりの舞台」

●アニメ版「ガラスの仮面」れびゅう　　　●表紙
1 . 2 . 3 . 4 . 5 . 6 . 7 . 8 . 9 . 10 . 11 . 12 . 13 . 14 . 15 . 16 . 17 . 18 . 19 . 20 . 21 . 22 . 23
この作品をDVDで見ることが出来ます！　「ガラスの仮面」TVシリーズ　1～23話完全収録
特典：マヤの台詞にあなたがチャレンジ！台詞無し劇中劇「嵐が丘」、番組予告、解説書など

　ガラスのように　
　もろくこわれやすい仮面　
　人は素顔を隠して　
　それをかぶる　

第７話　たったひとりの舞台

　結局、開始時間には間に合わなかった、つきかげ劇団員。
　演劇コンクールの棄権を決意した月影センセにマヤが「待った」をかけます。

　「たとえ失敗すると分かっていても、このままあきらめたくはありません！　ひとかけらの希望にかけてみたいんです!!」

　かぁーっ、いい言葉だねぇ。
　その言葉を残して突っ走っちゃったマヤ、劇団一角獣と月影センセを舞台裏に残し、たったひとりで舞台に立つのでありました。

　劇団つきかげ「ジーナと五つの青い壺」
　開幕－。

　「いってらっしゃい、お父さま。ええ、ジーナ、明日の朝まで、ちゃんと一人でお留守番しています。見知らぬ人には気を付けまーす。」

　本来、舞台に登場する父親のセリフをすっ飛ばし、いきなりドアの向こう側に見送られたものとして舞台を進めるマヤちゃん。いったい、どういうつもりなのでしょうか。

　「まあ、誰かしら。」

　「どなた？　あら、旅のお方。頭からマントをかぶって汚い身なり。いいえ、扉は開けられないわ。え？　追われてる？　青い壺を預かってほしい？　あの、困ります。でも…。いえもちろん、壺のフタを開けてみたりはしませんわ。困ります…。もし！　旅のお方…！」

　「預かっちゃった…。」

　どうやら、マヤちゃん。ひとりで舞台を進めるつもりのようです。
　大丈夫なのかな。

　「あら、馬がやってくる。あれは、お城の騎士様。」

　「えぇ！　この壺に？　和平の印の紋章が隠されている？　それを奪って、隣の国を乗っ取るんですって？　そんな？」

　「あぁ！　痛い！　待って、乱暴しないで！　壺を持った男なんて知りません！　…、わかりました。このことは誰にも言いません。ですからどうぞ、剣をしまってください。」

　劇はどんどん進みます。
　観客たちも、マヤ以外の人物が登場しないことに、気がついています。
　でも、「面白いからいいじゃん」てな感じで、どんどんマヤの演技に引きつけれてしまっています。

　「さあ、困ったわ。とうとう、青い壺を探している人たちが四組にもなったわ。しかも、それぞれ違った中身の壺を探してる。城の騎士たちと、お役人の他に、毒蛇の壺を取り戻そうとしている蛇使い、それに魔法のホレ薬の壺を探している王女さま。いったい、この壺の中身は何なのだろう？　開けてみようかしら？　もしかすると、その四つのどれでもない、五番目の壺かもしれないわ…。」

　「こらぁー！　ねずみめぇー！　脅かさないでよ、こらぁー！」

　「困ったわ、粉屋のおばさんは村中に言いふらしてしまう…。あたしの家に、この青い壺が見てしまったわ。どうしよう、壺を探しているみんながうちへ押し掛けてくるわ。でも、あの旅人との約束通り、この壺を守らなくちゃ。」

　前半45分が終わりました。
　毎度おなじみ、よくしゃべる審査員たちの感想によると、「前代未聞」ながらも「観客たちを少しも飽きさせない見事な演技」だったそうです。
　他の劇団員が戻って来る様子はありません。
　覚悟を決めたマヤは、後半の芝居も一人で進めることを決意するのでありました。

　劇後半、開始－。

　「まあ、これは三人のお城の騎士様。扉は開けられません。扉を壊して入ってきて、もし間違っていたらどうなさるおつもり？　さあ、どれが探している青い壺なの？」

　「これは、すもものピクルス。これは、葡萄の腐ったの。ほらほら、すごい臭いでしょ。それから、これはかまどの灰。あっ！　ごめんなさい、手が滑って…。あら、お帰りに？」

　「まあ、お城の兵士様。え？　さっきの三人の騎士たちを捕まえた？　おめでとうございます。」

　「毒蛇を入れた壺が見つかったって？　よかったわね、蛇使いのおじさん。さようなら、毒蛇に気を付けてね。」

　「はい、どなた？　え？　お役人の使いの人？　まあ、人を殺して宝石を奪った泥棒が捕まったの？　壺も見つかったって？　わざわざ知らせに？　どうも、ありがとう！」

　「結局、私が預かってるのは、どの事件にも関係のない壺だったのね。」

　よかった…。
　マヤは安心してテーブルにもたれ、眠ってしまいました。
　やがて日が暮れ、部屋の中に響いた物音でマヤは目を覚まします。

　「あ、壺のフタが開いてる！　開けた覚えがないのに…、それに位置が違う！　あら？　今、この上に置いたランプが！」

　「誰？　誰かいるの？　あぁ！　どうやって、この部屋に入ったの？　黙ってないで、何か言って！」

　「あぁっ！　痛い！　離して！　離してったら！　あっ、うっ！　あぁっ！　く、苦しい！　人殺し！」

　「あなたは…。ゆうべ、泥棒は捕まったと言いに来た…。わかったわ。あなたはお役人が探していた、人殺しの泥棒！　助けてー！　あぁっ！」

　「助けてください！　あ、旅の方！　あの人を捕まえて！」

　「ありがとう…。この男は人殺しの泥棒です。今、縄を渡します。あっ！　お役人さん！　泥棒を捕まえましたよ！」

　「盗んだ宝石を入れた青い壺は、地面の中に入れたんですって。今、すっかり白状しました。ね、旅のお方。私の守った、この壺の中身は一体なに？」

　「中身はリンゴの砂糖漬け？　じゃ、あなたが追われていたっていうのは？　え？　犬だったの？」

　「町へ働きに出て失敗して、この砂糖漬けの壺はお母さんに持って帰るおみやげだったのね。」

　「さようなら！」

　「もう、すっかり朝…。きのうの出来事がまるで信じられない…。」

　「あ！　まあ、お父さま！　おかえりなさい！　お仕事はいかがでした？　あらあら、大変な荷物。マントがほこりだらけ。お疲れだったでしょ、すぐお食事にしますわ…。」

　終劇－。

　前半後半合わせて一時間半の劇。
　月影センセの「手」も借りずによくやりました、パチパチパチ。
　それにしても、開始時間前たったの５分で一角獣劇団員と打ち合わせをして、効果音などのタイミングを合わせたのはスバラシイとしか言いようがありません！
　アニメ版「ガラスの仮面」も回を重ねて、七回目。
　これほど、劇中劇に時間を費やしたのは初めてです。
　そういう意味でも、拍手拍手！
　観客たちも、ものすごい拍手です。
　そして、客席で見ていた亜弓さんの口から思わず言葉が漏れます。

　「いい顔しているわ、マヤ。」

　あなたも、「いい声」してるよ。
　と、誰かが、言ったとか言わないとか…。

　さて、観客の一般投票で「ジーナと五つの青い壺」は見事一位を獲得！
　ところが、最終審査の間に小野寺がいちゃもんを入れます。
　曰く、「神聖なる演劇精神から大きく外れた作品」「役者が、無断で欠場」「主役は一人で身勝手な演技をやり通した」…。

　あーあ、つきかげは審査対象から外れちゃった。
　結局、一位になったのはオンディーヌ。
　マヤはロビーで泣き崩れてしまいます。
　そんな少女を見ていたロリコン男…、もとい、すらりと背の高いスーツに包まれた男が声をかけます。

　「ハンカチを貸そうか？　チビちゃん。」

　「……。」

　「どうした？　暗闇の中で一人、賊と戦ったジーナが泣きべそか？」

　「あ、あなたのハンカチなんか誰が借りるもんですか！　いくら、大都芸能のエライ人だって、へいこらしませんからね！」

　「その元気があれば大丈夫だ。」

　うぅ、いっつも損な役回りだねぇ、大都芸能若社長。

　そしてそこへ登場するのは、縦ロール髪のお嬢様。

　「次にあなたと舞台で芸を競える日を楽しみにしてるわ。その時こそ、負けなくてよ。」

　実際に優勝したのは自分たち…、でもどうしようもなく感じてしまう敗北感。
　私たちの劇はいつか忘れられても、彼女の演技は忘れられることはない。
　観客たちは、素直な心で彼女の劇を選んだ。
　そんな気持ちが、先の言葉になって表れたのでした。

　そして最後に、この人の登場です。

　「月影さん。一位になれなかった以上、我が青柳芸能プロは、劇団つきかげの土地、建物いっさいを引きあげさせてもらいます。いいですね。」

　果たして、劇団つきかげの運命やいかに－。

　[　第６話「全国大会のワナ」 ]　[　第８話「真澄の熱い想い」 ]　[ 戻り ]

[an error occurred while processing this directive]

●意外とかんたん、1週間でお手元へ！米国製育毛剤
●効かなきゃ返金！特許足の臭い取り「グランズレメディ」
●唾液で排卵期がわかる「レディデイ」
●12時間で英語耳「マジックリスニング」
●体脂肪を燃焼させるダイエットサプリメント
●たばこのように火をつけて煙を吸う「NosmoQ禁煙草」
提供：(株)プランセス　販売代理：STUDIO ISOGINCHAKU