アニメ版　ガラスの仮面・第12話「わたしはキャサリン」

●アニメ版「ガラスの仮面」れびゅう　　　●表紙
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この作品をDVDで見ることが出来ます！　「ガラスの仮面」TVシリーズ　1～23話完全収録
特典：マヤの台詞にあなたがチャレンジ！台詞無し劇中劇「嵐が丘」、番組予告、解説書など

　ガラスのように　
　もろくこわれやすい仮面　
　人は素顔を隠して　
　それをかぶる　

第12話　わたしはキャサリン
　
～げほっ、げほっ。血…。まさか！（北島春）～

　桜小路くんの紹介で大学のサークルが主催する劇団の手伝いをやることになったマヤちゃん。
　元気いっぱい。さあ、がんばるぞ！

　さて、今日は幼稚園で劇の披露。
　マヤちゃん、今回は演劇をさせてもらえるわけじゃないけど、先に来ていろいろ準備に張り切ります。
　ありゃりゃ、後からやってくるサークルのみなさん、高速道路で起きた事故の関係で到着がかなり遅れそうなんだって。
　困った困った、子供達は待つことになれてません。
　園長先生も手を焼いちゃって大変。
　おっと、マヤちゃんの前で子供が転んじゃった。

　「あらあら、男の子でしょ。泣かない、泣かない。」
　「だって、痛いんだもん！」
　「いい子ね、泣いちゃダメよ。そうだ、お姉さんが『白雪姫』を聞かせてあげる！　あのね…、白雪姫のお母さんの王妃さまは本当はこわーい魔法使いだったの。」

　マヤちゃん、いきなり「白雪姫」のお話しをしだしたぞ。

　「毎日大きな鏡の前に立っては、『鏡よ鏡、この世で一番美しいのはだ～れ？』すると鏡が『この世で一番美しいのは、それは王妃さま。』」

　さっきまで、同じ話を保母さんがやっても子供達は聞いてくれなかったのに。

　「ところがある日、鏡はこう答えるの。『この世で一番美しいのは白雪姫。』」

　おやまぁ、いつのまにか回りの子供達までしーんとなって聞き始めちゃった。

　「あ、あの、わたし…。」

　マヤちゃん、なんだか場違いなことしちゃったかなって気になっちゃった。
　でも園長先生、拍手をしながらやさしく言ってくれたよ。

　「いいんですよ、続きをやってください。ねえ、サークルの人が来るまで。そうだわ、舞台の上で！」

　子供達も大喜び、さぁ「白雪姫」の再開だ。

　その頃－。
　月影センセの元に原田菊子さんがお見舞いにやって来ていました。

　「久しぶりね、月影さん。」
　「ホントね、何年ぶりかしら。」

　共に昔は演技を競った仲、旧交を暖め合います。

　「あの子、恐い子ね。」
　「そうね。」

　「あの子」が誰のことなのか、名前を言わなくても二人には分かっているようです。

　「あの子が出る舞台は荒らされるわ。大した役じゃないのに、客はあの子ばかり目で追っていた。一緒に舞台に立つものは誰もが、あの子の風に巻き込まれ、あの子の光の陰になってしまう。」

　お見舞いに持ってきた花をパチパチ切りながら、花瓶に挿していく原田さん。
　でも、それ菊の花じゃおませんか？　病人の見舞いで菊って、いいのかな…？

　「だからもう、私はあの子は使わない。あの子のために栄進座が振り回されるのは、ごめんだわ。」
　「あの子は、同じ演劇をやるものにとっては驚異よ。若い内はその才能故にねたまれ、あちこちの舞台からはじき出されて、木枯らしの中を歩くことになるでしょう。でもね、原田さん。」

　菊を全部挿し終えちゃった原田さん、月影センセの方を向きます。

　「やがて世間が、あの子を認めないわけには行かなくなるわ。」
　「大衆があの子を望むようになるからね。」
　「そうよ。あの子が、何よりも大きな大衆の力で支えられる日が来る。きっと来る。」

　そうこうしてる内に、サークルのみなさん、幼稚園に到着です。
　さあ、子供達もお待ちかねー。
　と思ったら、なんだか雰囲気がヘンですよ。

　おや！　お手伝いに来てくれたあの子が、白雪姫の話をしてるじゃありませんか。
　しかも、舞台の上で！

　マヤちゃん、それに気がついて、お話をおしまいにします。
　ところが、マヤちゃんの話に夢中になっていた子供達、途中で終わりにさせられちゃったんじゃ、そりゃたまらない。
　この後で、「ちゃんとした劇」が始まるのにねぇ。
　すっかり気に入られちゃったマヤちゃん、園長先生の要望もあって、「白雪姫」を最後までお話しすることになりました。
　でも、それが、サークルの人たちのプライドを傷つける結果となってしまい、マヤちゃんお手伝いをクビになっちゃいます。

　えーん、えーん。
　カフェオーレ飲みながら麗がウェイター…もとい、ウェイトレスをやっているお店で泣くマヤちゃん。
　そんなマヤちゃんを、麗がやさしく慰めます。

　「マヤはお芝居がスキなんだろ。どんなことがあっても、マヤが芝居を見捨てない限り、芝居もマヤを見捨てやしない。」

　いやぁ、それにしても、麗はいい男…、もとい、いい娘だー。
　なんたって数年後、麗は月影センセになるのですから。
　え、なんのことかって？
　いやなに、声優さんの話。
　現在OVAとして発売されている「ガラスの仮面」では、麗役だった戸田恵子さんが月影センセ役をやってるんですから。
　おっと、閑話休題。

　さて、マヤ達がアパートに帰ると、見慣れない高級車が前に止まっていました。
　どうやら、よく見る大都芸能の車とは違うみたいです。
　ところでまた話それますけど、大都芸能、今度渋谷にでっかいビル建てるそうですよ。
　なんでも、９階には劇場も作るそうでして。
　そこで、こけら落としに「奇跡の人」をやるんだって。
　若社長、言ってましたぜ。

　「最近、出番少ない。」

　あ、間違えました。

　「ヘレンケラー最有力候補は姫川亜弓か…。でも、こけら落としまでには、まだ時間がある。ヘレンにふさわしい候補を他にもたくさん見つけておくんだな。」

　ってね。
　さてさて、今度こそ話を元に戻しますよ。

　「えぇ！　わたしが『嵐が丘』のキャサリン役を？」

　アパートに来ていたのは東洋劇場の人でした。
　なんでも、「おんな河」の舞台を東洋劇場の会長が見ていて、えらく気に入ったんだって。
　マヤちゃん、翌日に行われるキャサリンの子供時代役のオーディションに参加することになりました。
　それにしても、翌日…。
　そんな、急な…。

　「嵐が丘」がどんな作品なのか、キャサリンはどういう少女なのか、なんにもわからないままオーディションに望んだマヤちゃん。
　面接も演技も、さんざんな結果に終わります。
　結果は－。
　ヒースクリフ役の真島良くんと同じ劇団に通っている江川ユキさんに決定…、となりかけたところで東洋劇場会長が一言。

　「なまじ、予備知識があるよりも、白紙の方が仕込み甲斐があるんじゃないかな。」

　そんなわけで、キャサリンの少女時代はマヤちゃんに決定ー！
　これには、江川さんも真島くんもビックリ！

　（良…、舞台の上でも恋人でいたかった…。）

　ほほぉ、どうやら二人は恋人どおしだったのですね。

　さて、キャサリンをやるために、必死に台本を読むマヤちゃん。
　でも、それだけでは、キャサリンがどんな少女なのか、ちゃんとつかむことは出来ません。
　マヤちゃん、どうやったら、それをつかむことが出来るのか、月影センセのところに聞きに行きます。

　「人間を理解するためには、その育ってきた環境を理解しなければなりません。」

　なるほど、いいこと言うねえ。
　でも、いったいどうやって「環境」を理解すれば…。
　そんなマヤちゃん、ある日ふとしたことから小さい男の子と知り合いになります。
　両親が共働きで、鍵っ子のその子。
　マヤちゃん、その子が怪我したってんで、一緒に遊んでたんだけど、さて夜になって帰ろうとしたら、その子泣き出しちゃった。

　「いやーん、お姉ちゃん、帰っちゃイヤだぁー。」

　普段、友達もいなくて、いつも一人のその子。
　その姿がヒースクリフにダブります。
　たった一人の遊び相手、キャサリンを取り上げられたヒースクリフ。
　おもちゃも何もない…、誰一人として他の人と交わることのないヒースクリフ…。

　やれる…、私はキャサリンをやれる…。
　マヤの中で、何かがはじけたようです。

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