アニメ版　ガラスの仮面・第11話「舞台あらし」

●アニメ版「ガラスの仮面」れびゅう　　　●表紙
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この作品をDVDで見ることが出来ます！　「ガラスの仮面」TVシリーズ　1～23話完全収録
特典：マヤの台詞にあなたがチャレンジ！台詞無し劇中劇「嵐が丘」、番組予告、解説書など

　ガラスのように　
　もろくこわれやすい仮面　
　人は素顔を隠して　
　それをかぶる　

第11話　舞台あらし
　
～なかなか興味ある少女だ、ウチでちょっと使ってみるのも面白いかもしれない～

　「おんな河」で初めて商業演劇に取り組むマヤちゃん。
　一方、亜弓さんの方はといえば、縦ロールの髪の毛をばっさり切り落として「王子とこじき」にチャレンジ。
　役を自分のものにするために、乞食の格好をしてあちこちの街角で物乞いをするとは見上げた根性やねぇ。
　桜小路くんとデートに出かけたマヤちゃんもそんな姿を見つけりゃ、そりゃもうビックリや。
　いつか「紅天女」をやるためなんだってと、桜小路くんの解説を聞いてまたビックリ。
　天才の亜弓さんが、「紅天女」を…。
　ぼーっとなってしまうマヤちゃんに、桜小路くんも「マヤちゃん…。」とつぶやくしかなくなってしまいましたがな。えらいこっちゃ。

　さてさて、「王子とこじき」の開演や。
　フジナガ製菓の提供、そして夏休みちゅうこともあって劇場内は子供で一杯。
　大人はいたとしても子供の両親だったりするわけで、その中にいる大都芸能若社長と水城さんはかなり浮いとりまんな。
　亜弓さん、出てきましたで。
　いきなり汚い格好や。
　そりゃそうやで、乞食なんやもの。
　亜弓さんちゅうたら、そりゃもう可愛いお嬢さんで通ってるのに、見ていた子供さん達はえらいビックリしましたがな。
　あんなの亜弓ちゃんじゃないーって、そりゃそうやろ。
　帰るーなんて言い出した子もいるでぇ。
　そんな空気を察した亜弓さん、すっくと立ったでぇ。
　何をするんや、あぁっ！
　客席に降りよった。

　「右や左の旦那さまぁー！　どうかお恵みをー!!」

　ありゃりゃ、客席の子供達に向かって物乞いをしだしたで。
　子供達もぽかーんとなったけど、そこは天下の姫川亜弓や。
　だんだん子供達も慣れてきよった。
　さっきまで騒然となっとった空気が、がらりと明るくなったで。
　おかげで舞台は大成功や、いやあえかったえかった。

　一方、マヤちゃんが演じる劇場・栄進座の方はといえばオジさんオバさんばっかり。
　劇場や題目によって客層もかなり違うちゅうわけや。
　今までマヤちゃん演じてきたのは、ほとんど若い客層の中ばかりやったもんな。
　マヤちゃん、すっかりあがっとるで、大丈夫かいな。
　ところがぎっちょん、出番が来たらエライちがいや。

　「おらぁ、たずだぁ！　おめえんち、すげえ家だべなぁ！　やっぱ奉公に出るなら金持ちに限るのぉ！」

　マヤちゃん、あんた、静かやったそれまでの劇の流れをぶちこわすような声やな。
　舞台の上も客席も一瞬みんなあっけに取られたで。
　でも、あんまりすっとんきょうなセリフやったもんやから、お客さんとうとうこらえきれずに笑い出しよったで。
　もう、大爆笑や。
　ここの出番はこれだけで、すぐに奥に引っ込むわけやけど、セリフが他の役者さんたちに移っとるのにお客さん達、退場していくマヤちゃんの方に目が向いとるで。
　えらいマヤちゃん目立ちぶりやで、端役なのになぁ。

　おっと、客席にも注目や。
　仕事を抜け出して大都芸能若社長も「おんな河」の舞台を見に来たで。
　たったの30分しか余裕がないのに、ずいぶん熱心なモンやで若社長も。

　「ねんねんよぉー、おころりよぉー。」

　おっとまた、マヤちゃんの出番や。
　若社長、こころなし鼻の下が伸びとるように見えまっせ。

　「あーあ。子守りなんて、つまらねぇ。さんざんっぱらこき使われて、おまんまは遠慮しながら一膳だけ。」

　方言丸出しのしゃべりに、お客さんまた大爆笑や。
　ありゃ？　今、気がついたけど、このページも方言ばかりや。まあ、ええか。

　おや、なんかマヤちゃんの様子がおかしいで。
　マヤちゃんが背負うとる、赤ん坊の様子や。
　舞台やから、本物の赤ん坊やなくて人形を使うとるわけやけど、その首が取れそうになっとる。
　さては、マヤちゃんに役を取られた結城麻江の陰謀か？
　あぁっ！　赤ん坊の首が取れてしもうたがな。
　そのまま舞台の上を転がっていきよった。
　どないしよ、客席も舞台裏も騒然や。
　けれどマヤちゃん、あわてずさわがず。
　転がっていった赤ん坊の首を拾って、ほこりをパッパッ。

　「おめえ、おとなしくしてろって。ほんに子守りも楽じゃねぇ。」

　そのまま、元の位置に背負うてしもうたで。
　すごい舞台度胸やがな。
　さすが「紅天女」候補、月影さんが見込んだだけのことはあるわ、まったく。

　そんなマヤちゃん、日を追うごとにどんどん人気が増して行きました。
　この調子だと、次の栄進座の舞台でも使うてもらえるかな？
　でも、原田菊子さん、もうこれっきりにするって決意しはりました。

　「あの子にはとんでもないさだめがあるんですよ、『舞台あらし』っていうさだめがね。」

　いったい、「舞台あらし」って、なんや？

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