セブンイレブンで受取りなら手数料タダ! ●アニメ版「ガラスの仮面」れびゅう   ●表紙
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この作品をDVDで見ることが出来ます! 「ガラスの仮面」TVシリーズ 1〜23話完全収録
特典:マヤの台詞にあなたがチャレンジ! 台詞無し劇中劇「嵐が丘」、番組予告、解説書など

アニメ版「ガラスの仮面」れびゅう

 ガラスのように 
 もろくこわれやすい仮面 
 人は素顔を隠して 
 それをかぶる 

第17話 紫のバラの人はどこに
 
〜 たまにはセリフだけなのもイイだろう? 〜


 (見てらっしゃい…。この舞台、見事私がつないでみせる…!)

 「ここは、千絵が怒りを爆発させて、家を飛び出していくシーンだ。」
 「でも、北島マヤは何も知らないんですよ。」
 「セリフがないのは姫川亜弓も同じだよ。イキナリ出番もないのに、飛び出していったんだからな。いったいあの二人、どんな演技を見せようってんだ…。」


 「あははは。口にユリなどくわえて、お父様のように何か芸でもなさるの? さっきあちらで聞きましたわ。あなたのお父様、旅芸人になるなんて。ずいぶん海堂寺家の名をあげてくださること。」

 (どうしよう、いつまでも黙ってるわけには行かない…。)

 「なんとかおっしゃいよ、海堂寺千絵としての言葉をうかがいたいわ?」

 (海堂寺千絵としての…?)

 「私の言葉に答えてくれればいいの、私もそれにお答えします。」

 (亜弓さんは言ってるんだ…、この場をアドリブで乗り切ろうって…。)

 「いいわね、千絵さん。」
 「ええ、分かりました。」

 (受けてたったわ、この子。)
 (とにかく合わせよう、とにかく亜弓さんに。)

 「ねえ、覚えてる? あなたがこの家に初めて来た時のこと。たしか5つの時だったわね、同い年だったから、よくおぼえているわ。」

 (亜弓さんはどうしてあたしの過去のことを…?)

 「いつも、ひとりぼっちのあなたはみんなによく間違えられたわね。使用人の子だって。」

 (亜弓さんはあたしを悲しませたいのかしら、怒らせたいのかしら?)

 「この芝居小屋のチラシ、どう思って? ほほほ、立派なお父様ね。こんなところに似顔絵が出たりして。」

 (分かった。あたしを怒らそうとしてるんだわ。)

 「本当に立派なお父様ね。」
 「ええ、立派な父です。」

 (お見事! 乗ってきた!!)

 「まあ、驚いた。気は確かなの? あの人は海堂寺家の名誉を汚したのよ。」
 「海堂寺家が何ですか、愛し合っているお父様とお母様とを引き離しておいて。」
 「お黙りなさい! 恩知らずにも程があるわ! 今までさんざんお世話になっておきながら!!」
 「いいえ。力で人を思いどおりに動かす、海堂寺家など私は大嫌いです!」
 「そう、それじゃ、どうしてあなたも出ていかないの? あなたと行比呂おじさまは、この海堂寺家のしみよ! 一点のしみのおかげで、みんなが迷惑する! どうして芸者のお母様の所に行かないの? なぜ、旅芸人のお父様の後を追わないの?」
 「うぅっ…。」

 「ヘボ役者…! なぜ、ヘボ役者の後を追わないの?」
 「もう、こんな家…!」

 (思わず出て行ってやるって叫びそうになった…。でも違っていたらどうしよう…、大変なことになる…。)

  ビシッ!

 「……………。」

 「こ…、こんな家、出ていくわ! 出て行ってやる!」
 「私もあなたの顔など見たくないわ! 今すぐ出てお行き!!」


 「よくやった、よく乗り切ったな…。」
 「あの…。私の最後のセリフ…、あれで良かったんでしょうか?」

 「良かったどころか、あれがなくては芝居が続かない所だったんだよ。千絵の家出がきっかけで海堂寺一族が崩壊していくんだからね…。」
 「そんなに大事なセリフ…。」

 (あの時、亜弓さんがぶたなかったら、あのセリフは出てこなかったかもしれない…。亜弓さん…、なんてスゴイ人なの?)


 「亜弓さん! さっきはどうも!」
 「あの時、出てくれなかったら僕たちどうなってたか…。」

 「これに懲りたら、台本のすり替えなんてつまらないことは止めるのね。」

 「……。」
 「知ってたんだ…。」


 「亜弓さん…、あの…、今日はありが…。」
 「失礼!」

 (亜弓さん…、あたしを見事に自分のペースに乗せ、必要なセリフを引き出した人…。勝てない…、あの人には勝てない…!)

 (北島マヤ…、全身で私の呼吸をとらえ、見事についてきた…。互角だったわ…。違う!四場の内容を知っていた私はそれだけ有利だったはず。それで互角だったってことは…、私の負け!)


 「どうしたんだい、チビちゃん。元気がないなぁ。大成功だったのに。」
 「私、亜弓さんに救われたんです! あの場を乗り切ったのは私ではなく、亜弓さんです。」
 「送っていこう、外は土砂降りだよ。」
 「結構です、ほっといてください!」
 「えらく嫌われたものだ。」
 「ええ、だいっきらい! あなたは劇団つきかげの敵です! 思い通りになって良かったでしょ! 後は『紅天女』の上映権を奪えば、あなたは満足するんでしょ。」
 「そのとおりだ。どんな手を使っても、僕は欲しいものを手に入れる。君達など、どうなっても構わん。と、こう言えば、お気に召すのかね?」
 「なんて、ヒドイ!」

 (ヒドイ人! 噂通りの冷血漢…、許せない…! 絶対許せない!!)


 (マヤのヤツ、こんな雨の中をお母さん探しているのかな…。)

 「マヤ! あーあ、こんなに濡れて…。」
 「あたし…、『紅天女』にはなれない…。」
 「マヤ…。」
 「どんなに走っても…、あの人には追いつけないわ。」


 「真澄様、さっきから何を考えていらっしゃいますの? 当てて見せましょうか?」
 「ん?」
 「逃げ出したあの子のこと。北島マヤ。あほほ、図星のようですわね。」
 「今日のあの子は見事だったからな。途中のハプニングも、よく乗り切った。」
 「そういえば、あの時の真澄様ったら、人前も構わず取り乱して…。」
 「舞台が壊されないよう、それが心配だっただけだ…。」
 「本当ですか。」
 「それ以外に何がある。」
 「そういうことにしておきましょうか。」
 「そう、それだけだ! それだけ…!」


 (はぁ。なんだか力が抜けてしまったみたい…。母さんはみつからない…、芝居の稽古もさせてもらえない…。そういえば、桜小路くんもとうとう「石の微笑」に来てくれなかった…。さびしいな。急にみんないなくなったみたいで…。)

 「マヤ! マヤ! あの人だよ、こんなにたくさんのプレゼント!」
 「紫のバラ!」
 「なにから何まで、まるであしながおじさんみたいじゃないか!」

 (「『夢宴桜』拝見しました。代役にしては、千絵役しっかりつかんでいて感心しました。次のあなたの出番を待ってます。」)

 (見ていてくださったんですね。紫のバラの人…。そうよ、あたしにはまだついていてくれる人がいる! 紫のバラの人!)


 「北島マヤさんって、あんたかね?」
 「はい、そうですけど?」
 「これ、受付に届いていたんだよ。クラス名と名前が書いてあったから。」

 (紫のバラ…!)

 「あー、ちょっとこれ!」
 「すいません! 後で取りに行きますから!」

 (紫のバラの人…、待ってて下さい! どこにも行かないで! どこかに、まだどこかに…。)


 「ステキな車ねぇ。」
 「カッコイイわぁ〜。」
 「ピカピカだぜぇ。」

 「あっ! 紫のバラが椅子に! この車は誰のですか?」
 「速水真澄のよ、大都芸能の。」
 「速水真澄の…。」
 「さっき校長室に入っていったわ。」


 (大都芸能の車に紫のバラ…。もしかすると、紫のバラの人がこの車に乗っていたのかもしれない…。そして、その人がアイツと一緒に校長室にいるかもしれない…。そう…、きっといる…!)


 「すみません! 校長先生とお会いしたいんです!」
 「今、来客中ですよ!」

 「何か用かね?」
 「あ…、あの…。1年B組の北島マヤです! あの…、実は…。」

 「これはチビちゃん、僕に会いに来てくれたのかな?」
 「違います! あたしは紫のバラのひとがここにいないかと思って…。」
 「紫のバラの人?」
 「あなたの車の中にバラが落ちていたから…。」
 「何!」
 「知ってるんですね? 紫のバラの人を! 知っているなら教えてください。あたし、ただ会って、一言お礼を言いたいだけなんです。いつもいつも親切にしてもらって、あたしがどんなに感謝しているか。どんなに勇気づけられているか。」

 「あはははは。」
 「何がおかしいんですか?」
 「いやぁ。今、やっと、誰が紫のバラを落としたか、思い出したんだ。」
 「は…。」
 「ここに来る途中で女優を一人乗せたんだが、彼女が花束を持っていて…。」
 「女優さん…。」
 「その中に紫のバラも混じっていたが、犯人はそれさ。君の大事なファンでなくて残念だったな。」
 「やっとお礼が言えると思ったのに…。」
 「その人にも君の気持ちは伝わってるよ…。」

 「用が済んだら、ドアを閉めてくれたまえ。」
 「どうもお騒がせいたしました。」


 (「あなたにとって楽しい有意義な学園生活が送れますように」 あぁ、会いたいなぁ。紫のバラの人に…。どんな人なんだろう、会いたい。お礼が言いたい!)

 「マヤ、おかえり! 学校はどうだった?」
 「見て見て! また、紫のバラよ!」
 「ひぃー、学校にまで! 熱烈ー!」
 「いやだぁ、麗ったら!」

 「あたし、今度いつ舞台に立てるのかなぁ。紫のバラの人に見てもらえないのが、悲しいわ…。」
 「先生だって、マヤが憎くて謹慎にしたワケじゃないし、すぐに解いてくれるさ。」


 「北島マヤさんですね?」
 「はい?」
 「わたくし、こういうものです。」
 「大都芸能…?」


 「ヘレン・ケラー役を?」
 「えぇ。ま、と言っても五人の候補者の一人ということで。最終的な決定は8月のオーディションで決定されます。」
 「それで、他の四人はどんな人なんですか?」
 「白鳥レイナ、早川あきこ、金谷英美…。」
 「金谷英美? 一ツ星学園の?」
 「ええ、今注目の実力派でね。」
 「で、あと一人は?」
 「姫川亜弓です。」
 「亜弓さん…。」
 「ついでに言っておきますと、演出は小野寺一先生。主役のアニー・サリバンに姫川歌子。」
 「はっ。勝負あったってとこだね。マヤは敵陣に乗り込むようなものだ。」
 「誤解しないでください。我々のオーディションはあくまで公平です。姫川さんたちが親子だからと言って特別扱いをするようなことは。」
 「それならいいけど。ねぇ、マヤ。」
 「せっかくですけど、あたしお断りします。」
 「マヤ…!」
 「あたし、お断りします。」
 「マヤ、よく考えた方がいいよ。この役は難しいけどやりがいがある。また役者として、のびられるじゃないか。そりゃ、大都芸能には恨みもあるけど、それとこれとは別さ。チャンスは捕まえなきゃ。」
 「ま、ゆっくり考えてください。」
 「あたし、オーディションには出ません!」
 「人の心は変わるものですよ。」

 「マヤ…、どうしたんだい?」
 「あたし…、勝てない……。」


 「やっぱり出ていくの?」
 「ええ。」
 「そう。」
 「中野のマンションにいます。」
 「しっかりおやりなさい。三日に一度は、ばあやをやるから。」
 「今度会う時はオーディションの会場でね。」
 「それまで私達は、親でも子供でない。そうなのね、亜弓?」
 「そうよ。あたしは実力でヘレンを勝ち取ってみせる。」
 「私も女優の目で公平にヘレンを選びましょう。」
 「さようなら、ママ。」
 「さようなら、亜弓。」


 「ヘレン役のオーディションを断ったそうね。」
 「はい…。」
 「コワイのね、亜弓さんが。」
 「先生…。」
 「『夢宴桜』で亜弓さんにリードされて恐くなった…。マヤ、あなたは破門です!」
 「破門!?」

 「謹慎中の身でありながら『夢宴桜』に無断で出演した。それだけでも理由は十分でしょう。ただし、もしヘレン役を勝ち取ったなら、考え直しましょう。」
 「ヘレン役を?」
 「でなければ、私の元にいることはもちろん、『紅天女』役もあきらめなさい!」


 「まだお仕事でしたの?」
 「企画書に目を通すのが僕の気分転換だ。」
 「相変わらずですこと。」

 「『奇跡の人』の件ですが、来月上旬に面接。オーディションは8月20日に決定しました。」
 「そうか…。」
 「お聞きになりませんのね。北島マヤがオーディションを受けるかどうか…。」
 「……。」
 「ご安心なさいまし。受けると言ってきたそうです。」
 「……。」
 「また、紫のバラでも送って、励まされたらいかがですか?」



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