アニメ版　ガラスの仮面・第９話「初めての映画出演」

●アニメ版「ガラスの仮面」れびゅう　　　●表紙
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この作品をDVDで見ることが出来ます！　「ガラスの仮面」TVシリーズ　1～23話完全収録
特典：マヤの台詞にあなたがチャレンジ！台詞無し劇中劇「嵐が丘」、番組予告、解説書など

　ガラスのように　
　もろくこわれやすい仮面　
　人は素顔を隠して　
　それをかぶる　

第９話　初めての映画出演
　
～次に映画に出るときは、本格的に演技の勉強をしようと思います（田淵エミ）～

　毎日バイトに明け暮れ、芝居の稽古もままならない。
　そんな劇団つきかげに朗報が届きます。

　きれいに掃除してくれさえすれば、使用料はタダでええでっせという神父さんがイキナリ登場！
　今時珍しい、澄んだ精神のお方！
　さすが、神父さん！
　でも、それも実は大都芸能若社長の差し金だったりします。

　「なぜですの。あたくし、真澄さまは、劇団つきかげがつぶれて、喜んでおられるとばかり、思っておりました。親切に稽古場を探してあげるなんて、しかもお名前も出さずに…。」
　「ふぁっふぁっふぁ。せっかくの金の卵をさび付かせたくないからね。」
　「それだけでしょうか？」
　「有能な秘書というものは、つまらないことを詮索しないものだ。」
　「特に真澄さま。あなたの有能な秘書になるにはね。」

　水城さん…、どうしてアナタの台詞はいつも皮肉ばかりなの？

　そんなある日。
　真夜中、月影センセがアパートから外に出ていきます。
　それに気がついたマヤ、センセの後を追いかけていきます。
　マヤがセンセに追いついたのは公園の中。
　キレイに咲いた桜が暗闇の中に舞っています。
　美しい光景の中、センセとマヤは「紅天女」への思いを深めるのでした…って、どうしてバックの景色が桜なんじゃい！
　どうせなら、梅にすればよかったのに…。
　この前、春のエピソードをやったから、いまさら梅の季節に戻ることも出来なかったってことかな？

　「先生、『紅天女』ってどんな役なんですか？　幻の名作と言われるそんなお芝居を、あたしみたいな者でも演じられるようになるのかしら？」
　「木になってごらんなさい！」

　マヤの素朴な疑問にイキナリ妙な命令で返すセンセ。
　マヤは素直に従い、演技を始めます。

　桜をバックに立ち、風になびくマヤ。
　ゆらゆら、ゆらゆら。
　あ、無意識のうちに瞬（まばた）きをしちゃったぞ。
　それに気づいたセンセ、近くに落ちていた小石をマヤに投げつけました。

　「マヤ！　木が動きますか！　悲鳴を上げますか！　『紅天女』は自分が人間だと忘れることが出来て、初めて演じられるんです！」

　たしかにアナタ、人間じゃないみたい…。体が弱そうな割には不死身だし…。

　「今、これを演じられる人などいやしない。マヤ、今のアナタではまだ無理…。千も万もの役をこなせるようにならなければ…。」

　あーあ、マヤちゃん大変だねぇ。
　でも、いいことだって有るぞぉ。
　アイドルの田淵エミが初主演する映画で、彼女のクラスメイト役の募集をやってるんだって。
　どうせ、アルバイトやるなら、こういうのをやらなきゃってんで、いざオーディション会場に突撃ー。

　でも、クラスメイト役にはなれませんでした、しょぼん。
　一所懸命やったのにねぇ。
　ところがどっこい、捨てる神あれば拾う神あり！
　クラスメイト役ではないものの、田淵エミが入院した病院で出会う、左足の悪い少女を演じることが決定！
　名前はないし、セリフも少ないけど良かったね、マヤちゃん！

　どんな小さい役だって、明日へのレッスン。
　やるで、やるで、やったるでぇー！
　その日から、マヤの特訓が始まりましたよ。
　足の悪い少女になりきるんだ。
　ひたむきに生きようとする少女になりきるんだ。
　そんなマヤがやったことは、稽古場にいる間、左足を縛ってすごすことでした。
　５分かそこらの出番のために、いやたとえ５分でも。
　役になりきるために。

　「シーンNo.34！　本番行きます！」
　「スタート！」

　いよいよマヤの出番、本番の撮影です。
　もうテニスが出来ないと泣き崩れる田淵エミの横を、足の悪い少女役・マヤが手すりにつかまりながら階段を上っていきます。
　その左足はまるで本当に生命が通ってないかの様。
　その演技に周囲の者達も思わず息をのんでいます。

　そんな中、演技が続くスタジオ内に「田辺先生」と呼ばれる人がやってきました。
　その田辺先生、マヤの姿を見て気がついたぞ。
　この前、演劇コンクールで一般投票第一位を獲得した少女やないけ！
　そらもう、びっくり。
　その子がなんでこんな端役をやっとるねん。

　「君たちに目はあるのかね。」

　おぉ、出ました、名セリフ。でもちょっと、表現的にマズイような気もするぞ。
　その声に気づいたのか、あるいは気づかなくても関係ないってか、監督もマヤの演技にどんどん引き込まれちゃう。

　「アップだ！　田淵エミじゃない、あの子をアップにしろ！」

　ありゃりゃ、カメラマンを突き飛ばして自分で撮影し始めちゃいましたよ、監督さん。
　そしてマヤの出演部分の撮影は無事終了－。

　さてさて完成した映画を見に、映画館にやって来た人がいます。
　それも大切な会議を抜け出して。
　まぁー、とんでもない。いったい、どこのどなた？
　って、大都芸能の若社長に決まってまんがな。
　若社長ったら、端役なのにアップで写っているマヤにどうやら御満悦。

　「スケジュールをすっぽかして見に来るなんて、よほど楽しみにしていた映画ですのね。」

　だから、どうしてアナタは皮肉しか言えんのじゃぁー。
　あ、一応説明しとくと、今のセリフは水城秘書（有能）です。

　いつかきっと「紅天女」をやるために。
　マヤも亜弓も動き始めました。
　これから先、この二人にはどんな運命が…。

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