ガラスの仮面・劇中劇「通り雨」

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通り雨

1999. 3.26作成
収録：文庫本12巻　P.5～60
出演：佐藤ひろみ…北島マヤ
脚本：吉沢ひろし
舞台監督：草木広子
照明：美術部部長宮本くん他５名
於　：一ツ星学園体育倉庫

[背景]

　一ツ橋学園体育倉庫で行なった女海賊ビアンカが好評のマヤに、また劇をやってくれとの要望が殺到する。マヤが題材に選んだのは、候補の中で一番平凡な脚本だった…。

[物語]

　好きな歌手は田原俊彦。サッカー部の島本くんが大好きでイニシャル入りのタオルを作ったのになかなか渡せないでいる、そんな、どこにでもいそうな高校生・佐藤ひろみ。
　ある日ひろみは、授業中に貧血を起こした友人を家まで送る。帰りに通り雨に出会い、雨宿りした喫茶店の軒先。そこで見たのは父親と真剣に話している女性の姿だった。
　女性はかつて、酔っ払った父親を家まで送ってくれた会社の同僚・井村早苗。父親は井村の前で妻とは勧められるがままに見合いをして結婚したことを打ち明ける。
　その様子に、父親が浮気をしていることに気付くひろみ。
　「だが、愛してる。妻も子供達も」
　泣き崩れる井村。自分を取るか、家族を取るか、決断を迫る井村の前で父親は静かに頷いた…。
　学校に戻っても、ひろみの心は晴れない。友達と行くはずだった喫茶店Cocoへも行かずに一人さまよう。家族に言おうがどうしようか、いやとてもじゃないが言えない。そうだ、お父さんに文句を言ってやろう。会社中に響くぐらいの声でバカって言って、怒ってやる！　そう意気込んで父親の会社に乗り込んだひろみ。しかし、エレベーターを待つ間に次第に心は沈んできた。悲しみが心を支配し、いざ父親の前に立つと何も言えなくなってしまったのだ。
　「ただちょっと、会いたくなっただけ…」
　今度の休みにドライブに行く約束を取り付けるものの、父親が浮気をやめると言ったわけではない。
　ひろみは井村に会うことを決心する。会社で聞いた住所をもとにアパートにやっていたひろみ。そこで、ひろみは父への思いを思いっきりぶつける。そんなひろみに、井村は故郷に帰ってお見合いをするつもりであることを伝えるのだった…。
　井村の家を後にしたひろみ。外に出ると、また雨が降り出した。ひろみは思う。今日の出来事は只の通り雨だったのだ。そう、自分の心に納得させて…。
　「いけない！　もう夜の８時！」あわてて家路を急ぐ、ひろみ。
　明日こそ島本くんにイニシャル入りのタオルをプレゼントしようと決心し、家のドアを開けるいつものひろみがそこにいた。

　全編、マヤのパントマイムによって演じられる。

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