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見てないアナタも大丈夫
ガラスの仮面完結編

1999.10. 5作成

- 7 -

 「私、最低の役者です。相手役にあんなこと言わせるなんて…。ごめんなさい、私のせいでみんなに迷惑かけてる。」

 池の前を散歩しながら、黒沼に謝るマヤ。

# あ! ひょっとしてこの池はダービー池(テレ朝敷地内)?
↑確証なし
 「告白しろ!」
 「えっ?」

 どうしてそんな言葉が黒沼から出るのか、わからないマヤ。

 「どうせまだ、自分の気持ちもまだ相手に伝えてないんだろ?」
 「どうして…?」
 「気持ちを伝えて、それでもおまえの心が届かなかった時には、そいつのことをキッパリと忘れろ。」

# 勝手にうまくいかないなんて決めつけるなよ
 「えっ…。」
 「結果がどうなろうと、その恋に無駄はない。つらい恋も、痛みも、ときめきも、すべて本物の感情だ。おまえはそれを、舞台の上で演じるんだ。」
 「舞台の上で…。」
 「悲しいかな、それが役者だ。」


 相変わらず、窓際でたそがれてる真澄にモンチッチ水城が告げる。

# だから、仕事しろって
 「そろそろ、ご自分の幸せを考えてもよろしいんではないですか。大都芸能副社長としてのあなたではなく、速水真澄個人としての幸せを。決断の時です。今のままでは、あの子は確実に潰れてしまいます。」

 ますますたそがれてしまう真澄。


 花屋のショーウィンドウ内に飾ってある紫のバラを見ながらマヤが決心する。

 「伝えよう、速水さんに伝えよう。私の気持ちを。」

 (BGM・「Calling」)

 そして、真澄もまた決心したかのように社長室を出ていこうとする。
 そこへ、またもノックもせずに真っ赤っかなブレザーを着た紫織が。
 真澄の手に握られている青いスカーフを見るや、いなや、

 「マヤさんの所へ行かれるの?」

 そう問いただす紫織に対し、真澄が答える。

 「僕は…、君のことを幸せには出来ない。」
 「行かせない、許さない! あの子になんか、渡さない。お願い…。行かないで…!」

 強く、真澄を見つめる紫織。
 しかし、その紫織を振り払って真澄が告げる。

 「すまない…。」

 そう言い残し、社長室を去る真澄。

 「真澄さま…。」

 青いスカーフを手にしたまま車に乗り込む真澄。そして、大都芸能に向かってひたすら走るマヤ。

# あ、車が変わったなぁ〜。セルシオか。
スポンサー(トヨタレンタカー他)の関係からか?
 (速水さんに伝えよう。その結果がどうなろうと、かまわない。)
 (マヤ…。)
 (速水さん…。)

 車の中の真澄。走るマヤ。二人がやがて道路ですれ違った。


 真澄が思わず急ブレーキをかけて止まる。マヤもそれに気が付き、振り返る。
 車から降りてくる真澄。なぜか手には紫のバラを持っている。

# いったい、いつ用意したんだ?
 しばらく見つめ合う二人。
 沈黙が続く。
 その沈黙を打ち破るかのようにマヤが叫んだ。

 「あなたが好きです!」
 じっとマヤのことを見つめる真澄。マヤがまた続ける。

 「紫のバラの人としてじゃなく。速水さん、あなたが好きです!」
 「マヤ…!」
 「好きです!」
 思い詰めた様子のマヤに対し、にっこり微笑みかける真澄。やがて、紫のバラを持ってマヤの方に歩み寄って来た。にっこりとした顔のままで。

 ブスッ!
 (BGM終了)

 にっこりとしていた真澄の顔の口が、突然半開きのままとなる。
 それを見たマヤも口が半開きに。
 いったい何が起こったのか。
 わからない。
 いったい何が起こったのか。

 「うぅはぁ〜〜〜〜。」

 苦痛に顔をゆがめる真澄がやっとの思いで振り返る。
 そこには涙を流している紫織の姿があった。
 手にはナイフが握られている。
 真澄の持っていた紫のバラの花束が道路に落ちる。
 その場に倒れ込む真澄。

 「うはぁ☆□△ぁ〜〜」

 声にならない叫び声をあげる真澄に対し、紫織がしぼり出すような声で伝える。

 「愛してるの…。愛してるのよ…。」

 「行ってくれ…。」

 真澄も苦痛の中、絞り出すように紫織に告げる。

 「真澄さん…?」

 傍らでは呆然とした様子でマヤが眺めている。

 「行ってくれ…。俺を憎んでいる人間は、大勢いる…。早く…。」

 紫織をこの場から逃がそうとする真澄。しかし、紫織はその場を離れない。

 「いやあぁ…。」

 激しく首を振り、真澄のそばにいようとする紫織。

 「行くんだ…。行ってくれ!」

 真澄の強い言葉に促されるように、「はい」と小さく答え、その場を離れる紫織。

# でも、なんで紫織は真澄に追いつけたんだろう?
真澄は車で出かけたのに
 「速水さん…!」

 放心していたマヤがあわてて駆け寄る。

 「死なないで…。死なないで、速水さん…。」

 そんなマヤに真澄がやさしく答える。

 「マヤ…、大丈夫だよ。俺も…、君が好きだよ。マヤ、好きだよ…。愛してる…。」
 「速水さん…。」
 「愛してるよ…。」

 苦しそうな真澄。言葉を喋るのがやっとだ。

 「君の阿古夜が、紅天女が見えるよ…。」
 「速水さん…。」
 「マヤ…、虹の世界で君は輝いている…。輝い…。」

 そこまで声を出した後、真澄の首ががくっと落ちた。

 「速水さん…、速水さん…!」

 真澄の体を揺さぶるマヤ。

 「速水さん、起きて…。起きてよ、速水さん…! 起きて…、起きて…。速水さん…。」


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