1999.10. 2作成
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1998年放送のガラスの仮面2から、回想シーン(BGM・「Calling」)
「あ〜、すご〜い」
一面に広がる、梅…。と思いきや、普通の緑の木々。でも、それなりには美しい景色が広がる。
「月影先生、私やっと来ました。紅天女のふるさとへ。先生に紅天女を教わるために。とうとう、紅天女やるんだ。夢みたい、こんな日が来るなんて。」
紫の薔薇を見つめるマヤ。
「私がんばります、紫の薔薇の人、速水さん。いつかアナタに紅天女を見てもらうために。」
大都芸能社長室で、青いスカーフを見ながら速水真澄がつぶやく。
(回想シーン:「アナタに持ってて欲しい、私が紅天女をやるその日まで。アナタに。」)
「マヤ、待ってるよ。君が紅天女を演じるその日まで。その時が来たら、その時こそ、俺は。」
「紫織さん…。」
「今頃、マヤさん。紅天女のふるさとに着いた頃かしら。」
「先生!」
泊まり先であろう、お寺に現れたマヤ。その声に振り向く、目の大きな女性。
「亜弓さん…!」
その時、どこからともなく鼓の音が響いてきた。
「なんのご用でしょうか」
「フィアンセに随分と冷たいおっしゃり方ね。オペラにご一緒して欲しくって。」
「婚約は解消したはずです。」
「あら、もうお忘れになったのかしら。わたし、言ったはずですわよ。アナタをあきらめない、ずっと待ってるって。」
鼓の音が鳴り響く中、森の中を進んでいくマヤと亜弓。
「霧が…、赤い。」
「梅…、こんな季節に梅が咲いてるなんて。」
「紅梅の谷、そうだわ。きっと、ここが紅天女の梅の谷。」
「紅天女…?」
可憐に舞う、その女性。マヤと亜弓はうっとりと見つめる。
「風…?」
「うぅん、風なんか吹いていない。」
「人の気配がしない。」
「こんなことって…?」
女性は、まるで夢の中をさまよっているような感覚におそわれているマヤと亜弓の元に寄り、つけていた面をはずした。
「紅天女のふるさとへようこそ。」
「先生…。」
「月影先生、感激です。この梅の谷で先生に紅天女をお教えいただけるなんて。」
「二人とも本当に良く来ましたね。」
「先生、良かったお元気そうで。」
どこからともなく、源造が現れる。
「おまちしておりました。」
「源造さん!」
「さっきはとても素敵でした。風も吹いていないのに、先生の姿からは梅の花が風に揺れるようでしたなびく音が聞こえるようでした。」
「それはどうも。」
「この梅の木に紅天女の生が宿ってるんですね。」
「不思議です、一年中梅の木が咲いている。まさに神木。」
「一蓮はこの梅の木をイメージして紅天女を書いたんです。」
「この梅の木の精になれるなんて、なんだかワクワクしちゃう。」
(ワクワクしちゃうですって…!? 私は紅天女をやる緊張で一杯になってるというのに!)
そんな亜弓を、ほったらかしにして月影が続ける。
「遠い昔、国が戦で乱れていた頃。御門が平和を祈って、一人の仏師に天女の像を彫ることを申しつけます。ある所に千年からなる、梅の神木がある。その木を切って天女を彫れば、きっと魂のこもった素晴らしい像になるだろう。仏師はそう考えて、その梅の木を探しに旅に出ます。その旅先で一人の乙女、亜古夜と出会います。その亜古夜こそ、千年からなる梅の木の精。紅天女なのです。」
「亜古夜…、梅の木の精。紅天女…。」
寺に戻ってきた、三人。
「あなたがたにはここで、紅天女とは何かを学んでいただきます。紅天女を理解し、表現できるようになって欲しいのです。そこでまず、紅天女への課題として、『火』を演じてもらいます。火をどう表現するか、出来たところで発表してもらいます。」
(火を表現、どうやればいいの…。)
(どう演じるの、私の火…。)
「あなた方の戦いは、今始まったばかりです。」
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